TOPIC 景品表示法 薬機法

アフィリエイト広告規制へのカウントダウン

2021年3月7日

こんにちはー。

ここ最近は年度末のためか行政の動向が活発ですね。

前回の予告では免疫系か特商法改正あたりをと書いていましたが、先週消費者庁よりアフィリエイト広告に対する注意喚起とアフィリエイト関連の措置命令が公表されたので急きょトピックスを変更しました。

アフィリエイトサイトへの警告?

今回化粧品や医薬部外品を供給する事業者2社が、どのような問題のあるアフィリエイト広告を行なっていたかについて細かく指摘を入れた注意喚起資料が、消費者庁より公表されました。

リンク先のリリース文面を見ていただくとわかるのですが、定期購入の広告というところがポイントです。

昨年の頭から8月にかけて特定商取引法の改正に向けた検討委員会が開催されており、その報告書の中で詐欺的な定期契約に関する法規制の強化する方向が示されていました。

さらにASPやアフィリエイターの法的立ち位置を明確にしましょうという意見も出ていたんですね。

ひとまずアフィリエイト広告でどのようなことが起きているのかを調査するとなってからはや数ヶ月、ひとまず第一弾として今回の注意喚起が公表されました。

リリース文の中ではドメイン名もがっつり公表されており、また、アフィリエイターへの聞き取り調査の詳細も記載されているため、これからはアフィリエイター個人にも責任追及するぞというメッセージにも思えてしまいます。

過去にアフィリエイト広告が問題視されたことは何度かありましたが、処罰を受けたのは広告主や代理店、制作会社などの法人で、アフィリエイター個人が処罰されることはありませんでした。

今回の注意喚起では、いよいよアフィリエイター個人もやられるときがきたのか…と、時代の変遷を感じた次第です。

定期購入商法への規制強化

リリース文では2社の定期購入商法の問題点が細かくまとめられていて、消費者が読めば詐欺的な定期購入に引っかかりにくくなりそうです。

本当によく見かける煽り(在庫稀少とか今だけ限定◯円とか)に、シワがぜんぶ消えたや整形級といった誇張表現のオンパレードで、特に単品リピート通販企業は肝が冷える思いだろうなと。

初回価格を過剰に値引きして消費者を釣りつつ、解約条件や返金条件を厳しくして解約しにくくする(or違約金をがっぽり取る)ような定期購入については、行政も詐欺的として昨年から問題視していたので、今年の特定商取引法改正によってかなり規制を強化してくることは確実です。

また、定期購入はアフィリエイト広告を採用しているケースが多いので、アフィリエイター個人への規制も厳しくなるのであれば、広告出稿数が激減するのは目に見えています。

もともとリスキーな広告表現によってCVを獲得していたところに出稿数も減ってしまえば、当然物が売れなくなるので、事業の存続自体が危機的になる企業が多く出てきそうですね。

副業アフィリエイターは難しい

本業は会社員などをしつつ、副業でアフィリエイトをしている方は多くいらっしゃるかと思いますが、今後は健康食品や化粧品関連の広告は案件数の減少と審査の厳重化が見込まれるため、今までのような稼ぎ方は難しくなると予測します。

前述の注意喚起が出た数日後に、景品表示法で初めてASP経由のアフィリエイト広告そのものに対し不当表示があるとして措置命令が出されました

これって通販企業にとってかなりの衝撃なんですよね。

過去にアフィリエイトに言及した事例はありましたが、今回特筆すべきは、公表資料の中でASP経由でアフィリエイターに広告を依頼していたこと、また、広告内容の決定は広告主がしていたことを明記されているんですね。

推測になりますが、これはアフィリエイターが勝手に書いたもので、広告主は認識していなかったという言い訳は通用しないぞという消費者庁からのメッセージのようにも受け取れます。

景品表示法の対象者は供給主体者なので、アフィリエイター自身が商品を仕入れて販売していなければ処罰されるとは考えにくいですが、他の法律でやられる可能性はありえます。

特に薬機法や健康増進法は対象者が「何人も」なので、アフィリエイター個人も思いっきり処罰対象者に入ってきます。

CVを稼ぐためには過激な広告表現に頼らざるをえないかもしれませんが、企業だけでなくアフィリエイター個人への責任追及の可能性が色濃くなってきた以上、素人が安易に手を出す稼ぎ方ではないので、個人的にはこのあたりが潮時と考えた方がいいのではと思います。

もしそれでもアフィリエイトで稼ぐのであれば、広告の考査をしっかりしている企業と直契約を目指すのがいいですね。

アフィリエイト広告に対し今まで以上に量より質を重視する企業は増えるはずなので、そういったところと直接取引できるよう、薬機法や景品表示法、健康増進法の知識とリスク回避ができる表現を身につけていくことをおすすめします。

昨年からいつ来るかと思っていたアフィリエイト広告の調査結果報告が、年度末のこのタイミングで立て続けに出てくるとは予想よりも早くて驚きました。

今月はまだ上旬ですので、これから月末にかけてさらなる事例が出てくるのか気になるところです。

しばらくは行政の動向を見つつトピックスの内容を決めていく予定です。

ではではー。

Photo by Carlos Muza on Unsplash

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