TOPIC 景品表示法 薬機法

サプリビジネスの炎上を見ていて思うこと

2021年2月23日

こんにちはー。

もともとは免疫系サプリについてまとめようと思ったのですが、ここ数日Twitterでフェムテック界隈のサプリビジネスが炎上していたので、薬機法と景表法の観点から思うところをつらつらと書くことにしました。

企業責任?アフィリエイター責任?

今回問題になっていたサプリ商品は、販売手法としてアフィリエイターによる記事広告や漫画広告などを乱発していたようですが、その広告の中や公式SNSで薬機法などに抵触する表現を多用していたことから、けしからん!と問題視されたみたいですね。

アフィリエイト広告の質を無視してとにかく数で売っていくのはもう何年も前からよく見かける手法ですし、伝統芸能感すら漂っていますが、薬機法に措置命令と課徴金制度が導入され、特定商取引法の改正も進んでいる状況で、いまだにこの手法を採用している時点で事業として長続きしなそうだなというのが率直な感想です。

とにかく広告の数を増やすためにASP経由でアフィリエイターに依頼するとなると、当然広告主がチェック出来るキャパを超えた量の広告が世に出ることになります。

そのアフィリエイト広告に問題表現があった場合に、誰が責任取るんですか?っていうのはこれまた何年も前から議論されていたことですよね。

薬機法は対象者を「何人も」としているので、広告主とアフィリエイターのどちらも処罰の対象になります。(ASP経由なら当然ASPも)

景表法は対象者を「供給事業者(表示主体者)としているので、広告主が責任を負うことになります。

おまけにサプリビジネスには健康増進法も絡んできまして、こちらの対象者は薬機法と同じく「何人も」です。

サプリビジネスの場合、広告主は当然のことアフィリエイターも思いっきり関連法の対象者に入ってくるので、今回の炎上がきっかけでSNSをはじめとする広告のヤバい表現の証拠隠滅をはかっている広告関係者は、そもそもリスクを承知でやっていたのでは?

万が一の時は法令違反をしたとして企業名および違反内容の公表や課徴金の支払いなど、一定のダメージを負うことを許容したうえで戦略として攻めの姿勢を貫いていたのであれば、その是非は置いておきますがひとつの企業姿勢として考えうるやり方だとは思います。

※健康被害が発生するような商品設計や販売手法ではないことが前提です。

今回炎上していた商品は安易に売れる手法を取り入れており、外部から指摘を受けた際にボロが出てしまったというもののように見受けられました。

完全ホワイトな表現だけにすべき?

では、日本国内でサプリを売る以上は薬機法や景品表示法、健康増進法を完璧にクリアした完全ホワイトな表現のみで広告をすべきでしょうか?

私個人としては、エビデンスがしっかりしていることと安全性が担保されているのであれば、ある程度グレーな表現というのは許容しても良いのではと考えています。

もちろん医薬品ではないので病気や症状に効果があるようなことは、病院への受診機会を逃してしまう恐れもあるのでエビデンスがあってもNGと思っています。

そういったものではなく、運動時の疲労感を軽減や腸内環境の改善、肌の水分維持など深刻な病気や症状ではない部分でサプリがサポートしてくれるといった内容かつ、広告で過剰に煽りすぎないというところがポイントです。

アフィリエイト広告でやりがちなのが、深刻なコンプレックスや症状が商品の摂取だけで改善したといった誇張されたストーリーをガンガン流してしまうことです。

いくらエビデンスや安全性が担保されていたとしても、このやり方では安易な過剰摂取を招く可能性がありますし、消費者が医薬品レベルの効果を期待してしまうことにも繋がります。

そうではなく、広告ではあくまでもサプリ(食品)なので栄養補給をサポートするものだと明確にしたうえで、コーポレートサイトなどに研究実績としてエビデンスを掲載するといったような配慮を行い、ふんわりとサプリの効果を訴求していくというのが現実的なラインかなと。

この手法も何年も前からいわゆる成分広告と呼ばれ、多くの企業に取り入れられているものです。

当然ながら完全ホワイトな手法ではないので、薬機法や景品表示法、健康増進法の観点から指摘が入る可能性はあります。

ただ、広告上で誇大表現をせずかつエビデンスがしっかりしているのであれば景品表示法では問題になりませんし、薬機法の観点からも水面下での指導で終わる可能性が高くなります。

なので、最悪のシナリオを描きリスク計算をした上で、企業としてどこまでリスクを許容するかなんですよね。

そのあたりを考えずに売れるパターンだからと安易に過激なアフィリエイト広告に手を出せば、今回炎上した商品のような状態に陥るのは仕方がないことだと思います。

今回はイレギュラーで最近話題になっていた炎上案件にちなんだお話をさせていただきました。

今週は特定商取引法の改正案に刑事罰を導入する方向で最終調整が進んでいるといったニュースもあり、健康食品の通販業界にひと波きそうな予感がしています。

詐欺的な販売手法を行なっている事業者(特に中小企業)に対する規制は、今後ますます強化されていくのは確実です。

次回は免疫系商品の広告か特定商取引法の改正についてお話しようと思います。

ではではー。

Photo by Timon Wanner on Unsplash

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