少し前に割と有名な方の食品広告がいきなり炎上していて、今の世の中いつ何どき着火するのか恐ろしいなーと思ってちろっとのぞいていました。
色々指摘されていた中のひとつに他社誹謗というか比較広告が挙げられていたのが引っかかったので、今回は比較広告を取り巻く法規制と掲載時の注意点についてお届けします。
比較広告ってなんでいけないの?
そもそもなんで他社商品と比較する広告が問題になってしまうかというと、他社誹謗につながりやすいからなんですね。
商材によっては公正競争規約や業界団体のガイドラインに、他社誹謗はNG!と明記されています。例えば公正競争規約ならトクホやドレッシング類、牛乳などがそうですし、ガイドラインだと化粧品や家庭用美容器や健康機器などに書かれています。
また、消費者庁の「比較広告に関する景品表示法上の考え方」と呼ばれるガイドラインの中でも、他社を誹謗する広告は不当表示に該当するおそれがあると書かれているので、どの業界であっても他社誹謗はやったらアカンと考えていただくのが良いですね。
で、比較広告が他社誹謗につながってしまうのは、商品に優劣をつけてしまうからです。
例えばランキング形式で複数の商品と自社商品を比較し、自社が一番優れているように見せた場合、他社商品は自社商品よりも劣っていると述べていることになります。
また、具体的な商品名を出さずに漠然と、一般的な商品と自社商品を比較した場合も、一般的な商品の特徴に当てはまる他社商品を間接的に誹謗しているとみなされる可能性があるので注意が必要です。
比較広告が全てNGではないよ
比較広告は取り扱いに注意が必要な表現ですが、一律NGというわけではないですよ。
何とどのように比較するかに気をつければ、広告に使用可能です!
逆にどんな場合であれ即アウトになってしまうのは、他社商品名を挙げての比較です。
そんなんやらないですよーって思うかもしれませんが、意外とやらかしがちなのがアフィリエイトのランキングサイトだったりします。
サイトに掲載している商品と全く関係の無い第三者が運営しているならセーフですが、一見第三者的であっても、商品購入ボタンをクリックしようとするとASPの名前がひょっこり出てくることはザラにあるので、やっぱり利害関係ありますよねーとなることがしばしば。
アフィリエイターが運営するランキングサイトに対する措置命令はまだ出てきていませんが、過去にはランキングサイトを第三者が運営しているように見せかけていた企業に対して措置命令が下されたことがあります。
このときは他社誹謗を問題視されたわけではありませんが、第三者が運営しているように見せていても、広告に問題があるときは洗いざらい調査されるので、掲載商品とサイトの運営者に何かしらの関係性があるのであればランキングそのものが危ないということは覚えておいていただけたらと思います。
一番安全なのは自社比較
比較広告をやりたい!というときに一番安全な方法は、ずばり自社比較です(きっぱり)
自社商品内の比較だったら、他社の誹謗にはなり得ない&根拠資料が用意しやすいメリットが。
最近も洗剤のCMで、「今までの洗剤はほとんど水だったんです!でもこの商品は〜」のような比較をしていて、思わずメーカーサイトを検索したのですが、きちんと自社比較と書かれていました。
これが仮に自社比較と書いていなかったとしたら、景品表示法に抵触するかも&他社からクレームがガンガン来る可能性大。
自社比較とすることで、このような攻めたコピーが出来るんですね。
自社比較はやりたくない…そんなときは
でも自社比較って訴求が落ちそうでやりたくない…という方もいるかもしれません。
そのようなときは、絶対安全とはいえませんが、法規制や他社からのクレームに最大限配慮しながら一般的な商品との比較をするなら、いきなり大問題!ということにはならないと考えられます。
※化粧品は他社比較そのものが禁止されているため、比較表現は自社比較しかできないのでご注意を。
その際に気をつけなければならないのが、「妥当な根拠が用意出来ているか」です。
その辺で売っている商品を適当に見繕って比較してみました!では、万が一消費者庁に根拠資料の提出を求められたときに一蹴される可能性大。
ではどう比較したら妥当といえるのかというと、冒頭でお話しした「比較広告に関する景品表示法上の考え方」に比較方法が書かれています。
(2) 比較の対象となる商品等の選択基準
一般に、比較の対象として、競争関係にあるどのような商品等を選択しても特に問題ない。 しかしながら、社会通念上又は取引通念上、同等のものとして認識されていないものと比較し、あたかも同等のものとの比較であるかのように表示する場合には、不当表示となるおそれがある。
引用:「比較広告に関する景品表示法上の考え方」
一般的に同程度のものと認識されているものと比較するのがポイントです。
例えば素材や品質面でブランドの靴下と100均の靴下を比較するのは変ですよね?
明らかに自社の商品が有利になるような比較対象の選び方は、比較方法そのものが妥当ではないとして景表法上問題視されるおそれが。
また、比較対象が2、3個と極端に少ないのもアウトですね。
一般的な商品と比較するのであれば、よほどニッチな商材でない限りはある程度まとまった数量は必要と考えておいた方が良いです。
最後に〜こんなリスクもあるよ〜
ここまで法的リスクを書いて来ましたが、比較広告は行政だけでなく他社とのトラブルの元にもなりうるので、本当にご注意を。
取引先が企業間で訴訟にまで発展したケースはまだ見たことはありませんが、あそこの会社にこんなこと書かれてた!と憤慨しているシーンに遭遇したことが何度かあり、中には消費者庁に不当表示だ!と密告したとかしないとか…というものも。
商品自体で他社と圧倒的な差別化を図るのは、今のご時世とっても難しいですよね。
でも安易な比較は自社の首を絞めることになりかねないので、広告に使用する際はリスク計算は十分に行っていただけたらと思います。
ではではー。
Photo by Vanesa Giaconi on Unsplash