こんにちは。
前回の投稿から随分と日が空いてしまいました。ほんのちょっと休もうと思ったら年が明けていて、さらに2月ももう半ばですよ。。今年もほそぼそと投稿していくので、よろしくお願いします。
さて、年明け1発目の投稿は、健康食品の暗示的表現についてです。
機能性表示食品やトクホは、体への効果が言えるんですが、通常の健康食品は言えないので、なんとか効果を期待させようとすると暗示的な表現にならざるを得ないですよね。
でも、ここ数年は行政の取り締まりもぐっと厳しくなっているため、暗示的な表現も慎重に取り扱わないと非常にこわい状況です。
今回はそんな健康食品の暗示的表現が厳しくなった背景と使用時のポイントを解説していきます。
昔はもっと規制がゆるかった
今でこそ健康食品の広告がガミガミ言われていますが、昭和の頃はめちゃくちゃゆるくってダイエット食品なんかもやりたい放題だったみたいですね。
「○kg痩せる!」みたいなどストレートな表現も、気軽に使えていたようです。(現在は要注意な表現)
それが時代と共に段々と表現に規制がかかるようになり、直接的な表現ではなく間接的にほのめかすような表現でないと広告を作りにくくなっていきました。
ただ、暗示的表現であれば薬事法ではなかなか指導しにくいところがあったようで、効果を暗示するキャッチコピーや体験談を多用した広告が出来ていた時期もあったんです。
しかし、約2年ほど前に注目を集めた消費者庁と健康食品販売事業者の訴訟で、暗示的表現に対する規制強化が明確になってしまったんですね。
どんな訴訟だったの?
それがだいにち堂さんの措置命令取消訴訟です。
簡単に経緯を説明すると、だいにち堂さんは同社が販売していた健康食品の広告において、目のかすみやぼやつきに効果があるかのようにうたっていましたが、このような効果に対する合理的な根拠を持っていないと消費者庁に判断され、措置命令が下されました。
それに対し同社は、処分は不当であるとして取消訴訟に至ったものの、東京地裁に請求を棄却されています。
このときに論点になったひとつが、「ボンヤリ・にごった感じに」「スッキリ・クリアな毎日」といった抽象的な表現が、「表現の自由」or「商品の優良性を示すもの」のどちらにあたるのかというもの。
同社は「抽象的な表現であり、商品の優良性を示すものではない!合理的根拠を求められるのは表現の自由の侵害だ!」と主張したのに対し、消費者庁側は「いや、目に対する効果の暗示だよね?不実証広告規制を適用するのは妥当!」として真っ向からぶつかりました。
同社と消費者庁は主張の根拠として、それぞれが実施した消費者調査を提出していますが、こちらでも両者の結果は正反対ともいえる結果に。
同社が実施した調査では、約6割が「何の効果も期待できない」など否定的な回答をしているのに対し、消費者庁の調査結果では約6割が「目の症状改善」の印象を受けると回答したそうです。
で、裁判所は同社が実施した調査結果のうち、広告を見て「購入したい」等と回答した約5%に着目したんですね。
約5%の回答者のうち7割が「宣伝文句が気に入った」「効き目がありそう」など効果があるような印象を受けたと回答したことを採用し、暗示的表現が商品の優良性を強調したとする消費者庁の主張を支持したそうです。
参考:通販新聞「東京地裁 だいにち堂が敗訴、広告の「暗示規制」にお墨付き」
消費者庁のスタンス
この裁判に関する報道で、消費者庁は「暗示や間接的表現を含め表示全体から違法認定する従前通りの対応が認められた」とコメントしています。
こちらのコメントは、「前から暗示的表現を良しとしていたわけじゃないんだよ?広告全体を見て違法性があればアウトなんだよ?」とも受け取れますね。
判決から約5年ほど前の2015年に、機能性表示食品制度が導入され、健康食品で求められる科学的根拠のルールが整備されました。
これを受けて、機能性表示食品ではない通常の健康食品の表示規制も強まっていたんです。
ただ、暗示的表現を多用している広告でどこまでやっていいのかや、消費者庁がどこを問題視しているのかが見えにくかったものが、この判決によって今までのような暗示的表現を多用した広告はアウトになるということが世間に広く知れ渡ったようです。
景表法では、広告において一定の誇張は許容されるとしていますが、年々規制が厳しくなり「ここまで来るともはや言葉狩りじゃん!」という意見もちらほら。
消費者庁としては「言葉狩りじゃないですよー」ってことらしいんですが、暗示的表現をむやみに使用するにはリスクが高いので控えておいたほうが良いように思います。
暗示的表現が一切ダメってことじゃないよ
暗示的表現をひとつでも使用したら即アウトというわけではなく、広告全体から消費者はどんな印象を受けるかが重要なポイントです。
キャッチコピーや画像との組み合わせや、ページ全体で何度も繰り返し露骨な表現をしているなど、複合的な要素でリスクは変わってきます。
「これやりすぎかな?」と心配になったときは、家族など第三者の目線でどう見えるか聞いてみるのをおすすめします。広告作成に関わっていない人の意見=一般消費者の意見とも言えるので、ぜひ参考にしてみてください。
今回は暗示的表現のリスクについてお届けしました!
ではではまたー。
photo:「光を反射する裁判所銘板のフリー素材」
https://www.pakutaso.com/20210414092post-34070.html