TOPIC 景品表示法 薬機法

劇的ビフォーアフター的画像は危ないんだってば

2021年6月11日

前回「※効果には個人差があります」表示は意味無いですよーというお話をしましたが、つい先日まさにこれ系の措置命令が出たのでそのお話と、これまたやらかしがちなビフォーアフター表現について取り上げます。

「※個人の感想です」は本当に意味無い

6月3日に、ダイエット食品とまつ毛美容液を販売していた事業者に対して措置命令が出されました

ダイエット食品の広告には、「※コメントは個人の感想です。使用感には個人差があります。」や「※ハウワイに寄せられたお客様の声であり、効果ではありません。」と記載されていましたが、消費者庁はこれらの表示は消費者の認識を打ち消すものではないとバッサリ。

措置命令のリリース文書を見ていると、打ち消し表示に対して毎回毎回このような感じでバッサリ切り捨てているので、その度に「※個人の感想です」は本当に意味が無いんだなぁとしみじみ思っています。

書いたら危ない!書かないで!とは思いませんが、免罪符には全くならないので、その点は常に念頭に入れていただけたらと思います。

2週間でまつ毛が伸びる効果は本当?

ダイエット食品と同時に措置命令を受けたまつ毛美容液の問題点はというと、証明が出来ないレベルの過剰な効果をガンガン言った誇大表示でした。

2週間といった短期間でまつ毛がぐんぐん伸びる育毛効果を訴求していたものの、合理的根拠が提出出来なかったため不当表示と判断されたようです。

リンク先の別紙1をご覧いただくとわかりやすいのですが、明らかに増毛しているような画像のオンパレードなんですね。

そもそも化粧品の効能効果を逸脱してしまっているので、薬機法の観点からもアウトです。

ただし、今回は景品表示法で罰せられているため、景品表示法ベースで考えていきますと、表示と実際が一致しているかどうかを証明出来れば措置命令にはなりません。

別紙1に掲載されているビフォーアフター画像は、ほとんどが「絶対エクステつけたよね?」と言いたくなるような変貌ぶりですが、仮にこれが事実であったとしても商品を使用すれば誰でも同じような効果が得られるのかを証明する必要があります。

消費者庁が広告上の効果訴求を見るときのポイントは、誰でもこの効果を得られるのか?なんですね。

社内テストした結果たまたま数人に効果があったので、その結果をエビデンスにすれば良いと勘違いしてしまいがちなのですが、そのレベルの試験結果では合理的根拠とはまず認められないでしょう。

こちらの事例でどのような根拠資料が提出されたのかはわかりませんが、万人が効果を実感できると断定できるレベルのものではなかったということは確かです。

化粧品と健康食品それぞれの考え方

ビフォーアフター表現は商品の効果が一目でわかるし、テキストよりも訴求として強いため、広告に取り入れたくなる気持ちは凄く理解できます。

実際に普段ご相談をいただく広告は、ほとんどのケースでビフォーアフター表現が出てきます。

ただ、画像で商品効果を訴求しようとすると大体が過剰な見え方になってしまいがちなんですね。

例えば薬用化粧品のシワ改善商品で、使用前と使用後のシワ状態を比較しようとすると、明確に刻まれたシワやたるみがピンっとするような表現になっているなんてケースはよく見かけます。

シワ改善効果を標ぼうできる薬用化粧品であっても、どのレベルのシワに対する効果かは範囲が決まっていて、その範囲でビフォーアフター表現をしようとすると、商品効果ってこれだけなの?と思うレベルの見え方になってしまうんです。

ルールをきちんと守ろうとすると魅力的な演出ができない、商品効果をわかりやすく伝えようとすると過剰な表現になってしまうというジレンマに陥った結果、やっぱり売れなくちゃ意味が無い!ということでやりすぎてしまう企業は多く見受けられます。

ビフォーアフター表現は、メーキャップ化粧品であれば比較的やりやすいですが、基礎化粧品に関しては取扱に要注意な表現です。アイテムごとにどのように表現ができるかについては、化粧品広告のきほんのきシリーズで別の機会にまとめようと思います。

健康食品の場合は基本的に効果を言うこと自体ができないため、ビフォーアフター表現をやるとしたら置き換えダイエット食品あたりでしょうか。

痩身効果の標ぼうも得てして過剰になりがちなジャンルなので、食事制限や運動を並行して行った結果として妥当な範囲の見え方になっているか、十分に確認のうえ広告に掲載していただけたらと思います。

ひとまず大手の温度感に合わせるのがベター

ビフォーアフター表現は、どの程度ならやってもいい範囲なのかがよくわからずに、悪意なく過剰にやりすぎてしまっているなんてことになりがちなので、判断に悩んだら業界大手の広告をいくつかチェックしてみるのもいいですね。

法規制や業界団体のガイドラインを見ておくことも重要ですが、こういった資料は基本的にテキストのみでまとめられているので、広告表現にどのように落とし込めば良いのかわかりにくいという難点があります。

基本ルールを理解しておくのが理想的ではありますが、そんな時間はない!という場合は、業界大手の広告で大体の温度感をつかむのが手っ取り早いですよ。

もちろん大手といえどもそれぞれの企業ごとに攻めと守りのバランスは異なるため、絶対安全とは言い切れませんが、大手事例を参考にビフォーアフター表現をしていれば、思い切り逸脱した表現をやらかしてしまったなんてことにはなりにくいと考えられます。

今月はまつ毛美容液だけでなく、立て続けにストラップ型の空間除菌商品にも措置命令が出されており、今年度の行政処分が本格的に始動してきた感じがします。

今夏から薬機法も措置命令と課徴金制度がスタートしますので、今のうちに運用中の広告を見直しておくのが良さそうですね。

次回は再び化粧品広告のきほんのきシリーズに戻ろうかと思います。ではではー

Photo by Marl Clevenger on Unsplash

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