
先日は春一番が吹いて、暖かい日が続くようになりましたね。今年の関東地方は暖冬のまま終わりそうで、寒さが苦手な身としてはちょっとうれしく思っています。
今回は化粧品広告のきほんシリーズに戻り、良くご相談をいただく体験談の取り扱いについてまとめていきますね。
お客様の体験談はそのまま使える?
化粧品広告で必ず見かけるといって良いほど掲載されている、愛用者の体験談。
実際に寄せられた体験談をそのまま掲載するのは危険です。
こんなに肌が綺麗になった!自分にすごくピッタリで、◯ヶ月使ったらシミが薄くなった!etc...
商品を喜んでくださるお客様の声をぜひ広告に載せて、ファンをもっと増やしたいと思う気持ちはとっても良くわかりますが、体験談の中には薬機法上アウトな表現が含まれていることが多々あります。
なので、体験談を掲載するときは問題となる文言が無いかチェックし、必要に応じて修正が必要です。
修正をすることに対し、「それって嘘をつくことになるのでは?」と思われる方がいるかもしれません。
確かに実際の声とは一部異なってしまうことになるので、正直なところ推奨しにくいものの、全く手を加えずに使用できるかつ、内容が広告訴求として強いものというのはめったに出てこないのではないでしょうか。
そうなりますと、広告が作れなくなってしまう…という本末転倒なことになってしまうので、できるだけ改変せずに使用できる体験談をピックアップし、リライトする際は元々のニュアンスから大きくずれないようにするなど配慮した上で掲載するのが現実的なラインと考えます。
問題になる表現って?
体験談で問題になる表現は、効能効果と安全性に関するものです。
「翌朝の肌がしっとりしていて感激しました」「これを使いはじめてからニキビが出来ない♪」
など、効果について述べることは一律NGとされています。
また、「肌が弱い私でも使えています」「パッチテスト済みだから安心」のような、安全性について言うことも出来ません。
訴求ポイントとして一番言いたいところがNGとされているのはかなり厳しいですよね。
こちらについては、効能効果や安全性について消費者に誤認を与えるおそれがあるため行ってはならないと、医薬品等の適正広告基準や化粧品等の適正広告ガイドラインで定められているので、基本的に書かないとしておいた方が良いです。
体験談で言えること
では、どういったことなら言えるかというと、使用方法や使用感、香りのイメージなどはOKです。
例えば「しっとりした使用感で、心地よいです」「ベルガモットの香りに癒されます」などは記載出来ます。
効能効果を言えない分、使用感の表現を工夫することでなんとか効果をふんわり想起させるやり方は王道と言えます。
「しっとり感」「こっくりとしたテクスチャー」「洗い上がりさっぱり」のように、保湿や洗浄効果を言っているかのような使用感の話を盛り込み、商品で本来言いたい効果をやんわりと訴求するのがおすすめです。
また、人からこう言われるといった体験を盛り込むのもいいですね。
「ママ友からも、いつもキレイねって言われます♪」といった文は、商品を使ったからキレイになったとも受け取れますが、「いつもキレイね」と言っているので元々キレイな人と解釈することも出来ます。
これが「◯◯を使い始めてから、最近キレイになったねって色んな人に言われます」になってしまうと、商品効果の暗示になってしまうので注意が必要です。
ポイントは商品を使ったからキレイになったように見せつつも、文章でダイレクトに表現しすぎないといったところでしょうか。
いくつか解釈が出来るようなふんわりとした書き方にしておくのがコツです。
実際企業はどうしているの?
ここまでは広告における体験談の基本的な考え方をお伝えしましたが、では、実際に企業が広告で体験談をどのように扱っているかというと、、、
正直なところ効能効果について言っている企業は多く存在します。
ただし、効果をバンバン言うというよりも、媒体によって温度感を使い分けたり、化粧品で認められている効能効果の範囲までは許容範囲とする自社基準を設けて運用しているように見受けられます。
ルール上NGになっていても、発覚する可能性はどうか?もし発覚した場合にどのような処分になるか?といったことを計算し、ある程度のリスクを許容し企業判断で行うといったかんじですね。
これは体験談に限らずどんな広告表現にも言えることですが、完全にホワイトな表現でまとめてしまうと他社と差別化が出来ず物が売れなくなってしまうんですね。
なので、アクセルを踏む(リスクを承知で攻める)箇所とブレーキをかける(リスクを回避)箇所のバランスを考え、各社広告を行っているようです。
チラシであれLPであれ、体験談は外せないコンテンツですよね。
だからこそうまい表現を取り入れつつ、媒体によって表現の温度感を変えるなど効果的な使い方を模索していっていただければと思います。
次回はコロナウイルス関連商品の行政指導のお話をする予定です。ではではー