
こんにちはー。
春だからか毎日眠気がひどく、前回の投稿から随分と日があいてしまいました。
今回は前回の予告通り、除菌商材の広告リスクについてお話していきますね。
昨年から今年にかけて様々な除菌商品が措置命令や監視指導を受けていますが、その中の空間除菌商品について行政の温度感と広告リスクをまとめました。
消費者庁は長年問題視
空間除菌商品とひとくちに言っても、置き型や携帯型、スプレー型など使用方法は様々ですが、いずれの使用方法であっても除菌効果に合理的な根拠がないとして過去に多くの商品が措置命令を受けています。
これらの商品で一番問題視されるポイントは、エビデンスの試験環境と実際の使用環境に乖離がある点です。
メーカーによって試験条件にバラつきはあるものの、実際の使用環境は人の出入りや空気の流れがあるので、置くだけ(身につけるだけ)で空間を徹底除菌するのは不可能と言っても過言ではありません。
以前は試験所内のごく限られた空間でテストしていたケースがあったようですが、最近は居住空間を想定した広さでの試験を行っているメーカーも増えています。
とはいえ、居住空間は人の出入りにより都度菌やウイルスが持ち込まれるので、99.9%除菌のような除菌率って現実的ではないんですよね。
以前に都の担当者と話をしていた際に、「仮に除菌効果があったとしても、その数値は人が全くいない空間じゃないとありえない。」と言っていて、暗にそれって商品として意味なくね?って言われているように感じました。
これはもうおっしゃる通りとしか言いようがなく、おそらくどの商品も除菌効果自体はあると思われますが、商品を設置している(身につけている)間は常に99.9%除菌できていると証明するのはとっても厳しいです。
99.9%除菌以外にも、瞬時に菌やウイルスを除菌!といった即効性に関する表示も措置命令のリリースでよく出てくるので、合理的根拠の提示が難しいのだろうなと思います。
個人的にはここまでくると、もはや殺菌効果の標ぼうと紙一重のように見えてしまいますね。空間除菌商品は雑貨のため薬機法の対象外ですが、やりすぎると足を突っ込むことになるので要注意です。
昨年の指導や処分状況
昨年から今年にかけ新型コロナウイルスの感染拡大に日本中が戦々恐々としていたこともあり、虚偽・誇大広告を行っていた空間除菌商品に対して監視指導や措置命令が数回にわたり公表されました。
昨年3月の緊急監視指導時に3商品がやられ、その後5月に携帯型の空間除菌商品を販売していた5社に一斉に行政指導が行われています。
つい先週も亜塩素酸を配合した空間除菌スプレーを販売していた2社に対し、措置命令が出されました。
2社のうち1社はコロナウイルスに対する効果を匂わせる標ぼうをしてしまっているので、かなり問題視されたのだと思います。
現在新型コロナウイルスのサンプルを、除菌雑貨を製造販売している民間企業が持っていることはあり得ないにも関わらず、さも効果があるように標ぼうするのは非常に悪質と受け取られても仕方がありません。
今回措置命令を受けた事例では単に「コロナウイルス対策に!」と表示していたので、COVID-19以外のコロナウイルスを指していると主張することも出来なくはありませんが、表示を見た消費者のほとんどがCOVID-19を想起するはずなので苦しいものがあります。
広告表現の注意点
では空間除菌商品の広告は何に気をつければ良いのかと言いますと、「特定の菌やウイルスの名前を出さない」と「エビデンスの範囲に収まる表現にする」の2点は最低限押さえる必要があります。
行政は空間除菌商品自体にネガティブな印象を持ってはいるものの、販売してはならないとまでは現状言っていません。
雑貨の範囲をわきまえながら、エビデンスに基づき、消費者に誤認を与えない広告宣伝をしているのなら大問題にまではならないと考えられます。
なので、まずは薬機法に抵触しないよう特定の菌やウイルスへの効果を述べず、また、景品表示法を違反しないよう除菌効果の誇張にはお気をつけください。
しばらく投稿をお休みしている間に行政処分がいくつも行われていて、気になる事例がいくつかありますので次回は引き続き最近の事例をお話していこうかなと考えています。
ではではー。
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